過去とはおかしなものだ。一方では古代の歴史であり、長く死んだ皇帝や忘れ去られた戦争に満ちている。しかし一方で、過去は常にそこにあり、私たちが今生きている世界を形作っている。中東に関して言えば、過去は特に強力だ。
考えてみれば、中東は人類史上最も重要な出来事の舞台となってきた。オスマン帝国の勃興からベルリンの壁崩壊まで、この地域は何世紀にもわたって世界の舞台の中心にあった。そして、これらの出来事は古代史のように思えるかもしれないが、現在でも私たちの住む世界を形作っている。
たとえばオスマン帝国だ。何世紀にもわたって中東とヨーロッパの大部分を支配したこの大帝国は、しばしば過去の遺物とみなされる。しかし実際は、オスマン帝国は今日でも世界に影響を与えている。オスマン帝国が引いた国境線、融合した文化、そして残した紛争はすべて、大なり小なり今もこの地域に影響を与えているのだ。
オスマン帝国だけではない。アラブの春や湾岸戦争のような中東の他の歴史的出来事についても同じことが言える。これらの出来事は遠い過去の出来事のように思えるかもしれないが、現在でも私たちの生き方を形作っている。
では、このことは私たちにとって何を意味するのだろうか？ひとつは、過去を無視できないということだ。今日の世界を理解したければ、歴史を学ぶ必要がある。しかし、それ以上に重要なのは、過去は常に私たちとともにあり、私たちの想像を絶する方法で未来を形作っているということだ。
だから今度、過去を無関係なものとして片付けたくなったら、思い出してほしい。それは未来の歴史なのだ。
